「壊れたテープレコーダー」
よくぞ言ってくれました、泉流星さん!!(「僕の妻はエイリアン」の著者)。
う~ん、これぞまさに、発達障害の二次障害的要素であるフラッシュバックをズバリと的確にとらえた言葉であります。
この言葉に遭遇するなり、もう、私の目から特大の鯛一匹分以上のウロコがボロボロと、こぼれ落ちてきました。
まあ、いくら私が少し魚に似ているとはいえ、実物の魚ではない以上、ウロコがこぼれ落ちるのは、目の錯覚だったのですが・・・・・。
にしても、超衝撃パンチ!完全ノックアウトダウン!完全に打ちのめされてしまいました。(この本を読んだのはもうかなり前の話なのだが、未だにその衝撃は続いているのである。)
いわば、発達障害の皆さまは私を含めて、二次障害によるフラッシュバックに、日常茶飯事悩まされ続けているわけであります。
しかもそれは、例えば、戦争映画を見ると、戦争時の体験が思い出され、パニックになったり動悸がするというような、典型的なある事象に関連づけられて起こるフラッシュバックとは、かなり異なるのがやっかいな点であります。
私たち特有のフラッシュバックというのは、現状では過去の嫌な出来事を想起させる誘発物質がないのにも関わらず、脳がひとりでに、これでもかというほど、過去の嫌な出来事を時空間に関係なく、次から次へと、ポンポン思い出してしまうのが特徴であります。
この現象にとらわれると、極度のうつ状態、もっとひどい場合には、解離すら生じてしまうのです。(本当にツライ!)
その主な原因は、脳機能や中枢神経に何らかの問題が生じているがゆえに、物事と物事とをうまく切り離すことが出来ないことに起因すると、一般的に考えられているようです。またこれに、虐待的要因が加わると、問題の度合いが大きくなるそうです。(注、私も虐待されて育ったひとりである。)
で、私は、「壊れたテープレコーダー」なるものは、脳機能や中枢神経の異常という主な要因に加え、さらに4つの大きな要因が、時系列順に重なり合うという過程を経て、完成されうると考えるのです。(チンケな自論で恐縮なのですが)
過程1、
人間の脳それ自体が、生来的に苦痛を感知しやすいように設計されている。(設計図およびフィルム作成段階)
脳科学者池谷祐二氏のインタビュー記事によりますと、人間が苦痛に敏感なのは、脳が原始的に、食べ物の中にある毒を記憶するための機能(いわば、苦み記憶感知機能)を兼ね備え、それがのちに幅広く、苦痛そのものを記憶する機能へと進化させた結果である、ということらしいのです。(「考えない練習」小池龍之介の第3章部分を参照)
う~ん、なるほど。大納得!これも目から大ウロコです!
考えてみれば、定形発達の皆さま方であっても、それがたとえちょっとした嫌な体験であろうとも、とても執念深く覚えていらっしゃいます。ゆえに、俗にいう悪口や恨み辛みの類は、いつの世であれ、どこの世界でも、途絶えることがないのであります。
特に、私たち発達障害者の場合、ちょっとしたどころか、ものすごく嫌な体験や大失敗を普通の人の10倍以上は繰り返しているので、それらの苦痛を記憶するための機能を大いに拡張させている、と推定されます。
過程2、
過去と現代との判別もまだ曖昧で、とりあえず「現代ありき」と考えていた時分から、親ないし養育者から、もうとっくの昔に過ぎ去った恨み辛みを、毎日のように繰り返し聞かされる。(フィルムへの焼付け段階)
うちの母は、私が小学生の時分から、継子である姉や兄の学費を払ってやったことを、グチるだけでは飽き足らず、さらなる彼らのグチ(いわんや、父をば)、親戚へのグチを毎日ヒステリーを上げながら、私に繰り返し言い聞かせていました。
父のグチも、同じ時期から始まりました。しかも、毎日夕食を共にしながら(母は仕事のためまだ帰宅していなかった)、「女は生理があるから、感情的でバカな生き物だ」(キサマが一番感情的だよ!)、「おまえらの部屋は馬ゴヤだ」(なんで、私まで共犯なのか!)、「おまえは負け犬だ!」(仰せのとおり、負け犬になりましたとも!)、「自分のことではなく、まずは人様の事を第一に考えろ!」(そういうのなら、キサマの感情的なグチやDVを、真っ先に引っ込めやがれ!)などと、のたまうのでした。また父には、収入面や社会的なコンプレックスがあるため、「あの政治家は金に汚い!」、「日本の国家はダメだ!アメリカを見習うべきだ!」などと、当時の週刊ポストの記事を丸のみにした発言を、引き続きまき散らすのでした。(グチのサンドイッチ現象なり)
当初私は、あんな両親みたいなグチのフラッシュバック人間には、絶対になりたくないと思っておりました。しかし、嫌なことがこう何重にも重なってくると、その重みに耐え切れなくなり、それ故に、未来も全く想像することが出来なくなったため、どうしても過去のことばかりにとらわれる人間になってしまいました。そして、私の過去のフィルムには両親のグチるシーンが、数多く記憶されているため、もっとも簡単に再生されやすいもののひとつになっているのです。
また、親または養育者から、グチを繰り返し聞かされ続けた人たちは、(たとえそれが、母親の方からだけであったケースでも)定型発達の場合でも、後々精神的な病をかかえこむケースが多いそうです。
私の周囲にいた人たちのことを思い出してみても、親からグチを聞かされて育った人は、みんなどこか病んでおり、精神的にも危うい感じがいたしました。
過程3、
グチハンターとの遭遇(フィルム倍増段階)
人間のなかには、自分のグチを毎日のように聞いてくれるかっこうの獲物を見出す、卑劣な能力に優れた人たちがいます。(彼らをグチハンターとネーミング)
特に、イジメられたり孤立したりして、友達がいなかったり、人に言い返すだけの術や力量を持たないタイプの発達障害者たちは、彼らの格好の餌食となりやすいのです。
かくいう私も、彼らの餌食になりやすいタイプの人間でした。
彼らのグチを毎日毎日シャワーのように浴びていると(とくに、寮生活では逃げ場がなかった)、これまた知らず知らずのうちに、フィルムの数が増えていくのであります。
また、心が勝手かつ自動的に、テープレコーダーの中に情報を取り込む際、時には彼らの経験を自らのと、ごちゃまぜに収録してしまうため、さらにフィルムの数がUPしているのです。
過程4、
前述の1,2,3、の過程を経ることにより、ウップンやオリが、脳内に、大量かつ強固かつ無秩序に蓄積化された結果、自らが壊れたテープレコーダー化する。(製品完成)
自らの嫌な体験や人のグチが蓄積され、それが限界点に達すると、それを脳内に止めておくことは、事実上不可能となり、どこかにはけ口を求めるようになります。(つまり、テープが満杯になり、後は流すのみとなる)
なんせ、「テープレコーダー」は、むろん過去の記憶しか収録されておらず、また繰り返しに非常に強いという特性があります。
これが「壊れたテープレコーダー」となりますと、同じ部分を途切れ途切れに、繰り返し再生し続けるという特徴が出てきます。
そして、繰り返し再生を度々行っているうちに、再生速度がどんどんUPしていくのです。
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