前回の続き。 第2回目。
「言ってはいけない」(橘 玲 著。新潮新書)のP.25&P.214にある、チョー恐ろしい遺伝寄与率のデーターをまとめると以下のとおり。
<(安藤寿康「遺伝マインド」の一部を抜粋し、作成)と、「言ってはいけない」P.214に記載あり。/ それプラス、「遺伝子の不都合な真実」(安藤寿康 著。ちくま新書。P.76)をあわほの方で一部追加抜粋しました>。
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んで、2つだけ用語説明を。
「共有環境」:「きょうだいや親と共有する家庭環境のこと)。
「非共有環境」:(家庭環境以外の、学校&職場生活環境など。人それぞれが個別に体験する外的環境のこと)。
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遺伝率 共有環境 非共有環境
統合失調症 80% 12% 8%
精神病系 双極性障害 83% ? ?
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自閉症(親評定・男児) 82% ー 18%
自閉症系 自閉症(親評定・女児) 87% ー 13%
ADHD 80% ー 20%
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学業成績 55% 15% 30%
知能系 論理的推論能力 68% ー 32%
空間性知能 70% ー 30%
一般知能(IQ) 77% ー 23%
「言語性知能」 14% 56% 30%
(「言語性知能」だけはチョー例外的に、親が家で本を読む姿などの「共有環境」が強く作用するとのこと)。」
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音程 80% ー 20%
音楽 92% ー 8%
美術 56% ー 44%
才能系
執筆 83% - 17%
外国語 50% 22% 28%
チェス 48% - 52%
数学 87% - 13%
スポーツ 85% ー 15%
記憶 56% - 44%
知識 62% ー 38%
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身長 66% ? ?
<cf> 体重 74% ? ?
(つまり、身長・体重といった身体的特徴よりも、その他の要素の方が圧倒的に遺伝の影響を受けるということ)。
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さらに、「日本人の9割が知らない遺伝の真実」(
安藤寿康 著。SB新書)によると、
行動遺伝学の研究から導き出された重要な知見の1つは、個人形質のほとんどは遺伝と非共有環境(家庭生活以外の外的環境)から成り立っていて、共有環境(家庭環境)の影響はほとんど見られないという。
言いかえると、
「教育環境から受ける影響というのは、”今、ここで”、という一過性のものに過ぎない」ってことらしいのです。(風邪をひいた時だけくしゃみが出るのと同じ)。
遺伝の相関性の実験では、
一卵性の双子(=トータル類似性・約80%。/<cf>二卵性双生児の場合は、普通のキョウダイと同じくトータル類似性50%)に、それぞれ文法中心と会話中心という違った教え方を施して、2か月後に再テストをしてみると、教え方の違いは消えてなくなり、遺伝の影響だけが結果として強く残ったという。
また、イギリスの双生児7000組を対象とした調査では、
学習動機(やる気や自分で感じる学力感)に及ぼす先生の違いからくる影響力は、あっても2~4%程度。「つまりほとんどない」と安藤。
裏を返していうと、「
先生の教え方の上手い下手に左右されていると思うのは、人の中にある思い出(記憶)のせい」であり、「遺伝的要素がどんな環境により、自らどんな能力を発揮しているのか(もしくは選び取っているのか)とは、また別の観点になってくる」というわけであります。
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親の収入と遺伝率については、山形や中室らによる日本の20歳から60歳までの1000組を超す大規模な双生児データー(2013年)があると安藤。
全体的な収入に及ぼす遺伝率は約30%程度ではある。
しかし、年齢で比較すると、就職初めの20歳ぐらいの時の遺伝率は約20%であるものの(=若者の時は非共有環境からくる影響の方が断然大きい)、
その後だんだんと遺伝の影響が大きくなり、最も働き盛りになる45歳ぐらいには約50%程度にもなるという。
(但し、女性の場合は、自分の潜在能力が発揮されてないがゆえに数値化されてないらしい)。
また、一卵性双生児の研究結果によると、
学歴や職業の違いがあっても、もともとの生まれ持った能力が収入に直結するため、約7~9割がた似通ってくる。
(ちなみに、
別々の環境で育てられた一卵性双生児の場合も収入に大差はない)。
もっとも、一般的な能力水準は、偏差値の高い大学の方が高いので、大学間で比較すると
偏差値による収入の格差が生まれます。
しかし、それはそもそも学生の能力水準がもともと異なるからであり、大学が異なるレベルの教育をしたからではないのです。
つまり、大学偏差値の高低にかかわらず、人は社会にぶち込まれある程度の年月を経ると、能力水準により立場や収入が遺伝的要素のせいで7-8割程度規定されてくるってわけ。
さらに日本ってか世界的にも、学歴さえあれば(お勉強さえできれば)他の能力が乏しくてもイイ会社に入り終身雇用の恩恵を受けられた高度成長期はとうの昔に終わり、「(基本)学歴 + トータル能力の高さ」の時代になりました。
(なので、お勉強だけ人間は社会の勝ち組にはなれず、そのため特にギフティド&オーバーeducate発障者は、大ダメージを被っている......)。
結論からすれば、もともとの遺伝的要素が知能・才能・収入に色強く反映されるので、アファーマティヴ アクション(積極的差別是正措置)を施したとしても、
効果はぽちっと!一時的なもので、大金と労力の大ムダってこと。 「脱養育信仰」(=マスト)!!にほんブログ村にほんブログ村[7回]
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