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発達障害あわほの日記

発達障害である"あわほ"が、日々の思いや過去の出来事から考えたことをつづります。同居人であるオカメインコ♂の"のぶりん"も時々登場します。 当ブログはリンクフリーです。

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重度のコミュ障の本質をつく、村上春樹の「風の歌を聴け」

2013年4月19日(金)


4月12日に発刊し、早くも累計発行部数が100万部に達した、「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」(文藝春秋)が話題沸騰中の村上春樹氏。

「どんな有名雑誌よりも強烈な購買意欲をそそる純文学」と言われるだけあって、そのパワーの凄まじさは村上春樹が老齢になってもなお衰えることを知らず流石ですね。

その凄まじきパワーのおこぼれを頂戴して、超弱小ブロガーのあわほが厚かましくもそれに便乗して、彼のデビユー作の「風の歌を聴け」(講談社文庫)の一部を超私的に解釈していきたいと思います(注・村上春樹ファンの皆さま、ホントにスミマセン)




ー以下引用



 小さいころ、僕はひどく無口な少年だった。両親は心配して、僕を知り合いの精神科医の家に連れていった。

ー中略

 週に一度、日曜日の午後、僕は電車とバスを乗り継いで医者の家に通い、コーヒー・ロールやアップルパイやパンケーキや蜜のついたクロワッサンを食べながら治療を受けた。一年ばかりの間だったが、おかげで僕は歯医者にまで通う羽目になった。

 文明とは伝達である、と彼は言った。もし何かを表現できないのなら、それは存在しないのも同じだ。いいかい、ゼロだ。もし君のお腹がすいていたとするね。君は「お腹が空いてます。」と一言しゃべればいい。僕は君にクッキーをあげる。食べていいよ。(僕はクッキーを一つつまんだ。)君が何も言わないとクッキーはない。(医者は意地悪そうにクッキーの皿をテーブルの下に隠した。)ゼロだ。わかるね?君はしゃべりたくない。しかしお腹は空いた。そこで君は言葉を使わずにそれを表現したい。ゼスチュア・ゲームだ。やってごらん。
 僕はお腹を押さえて苦しそうな顔をした。医者は笑った。それじゃ消化不良だ。
 消化不良・・・・・。

ー中略

 医者の言ったことは正しい。文明とは伝達である。表現し、伝達すべきことがなくなった時、文明は終わる。パチン・・・・・OFF。

 十四歳になった春、信じられないことだが、まるで堰を切ったように僕は突然しゃべり始めた。何をしゃべったのかまるで覚えてはいないが、十四年間のブランクを埋め合わせるかのように僕は三カ月かけてしゃべりまくり、七月の半ばにしゃべり終えると四十度の熱を出して三日間学校を休んだ。熱が引いた後、僕は結局のところ無口でもおしゃべりでもない平凡な少年になっていた。

ー引用終わりー「風の歌を聴け」講談社文庫・1979年第22回群像新人文学賞受賞作品




実は私あわほも小さい頃、ひどく無口でありました。

あわほの場合は自閉症が入っているので、意識がいつも混沌としていたために、自分をとりまく世界がすごくぼやけて見え、自分の感情すら殆んどわからず、言葉も殆んどわからなかったので、うまく周りの状況を認識することができませんでした。

5歳ぐらいになっても人に伝達できる言葉は非常に少なく、覚えている限りでは、「おばあちゃんのお家に帰る。帰る。帰る。ギャア~!」(うちの母親に対する無駄な抵抗)と、「ババババはしっこ!」(注・肌身放さず持っていた汚いガーゼの切れはし)、「おばあちゃんと買い物へ行く」の3つぐらいです。

家でもこんな調子であったので、保育園では周りの状況どころか、先生や他の児童が何をしゃべっているのかさえ全くのチンプンカンプンで、見事に孤立してしまいました。

小学校低学年から中学年ぐらいになると、家では内弁慶さながらの「パチン・・・・・OFF。」状態で、堰を切ったように突然しゃべり始め、何をしゃべったのかまるで覚えてはいないが、ブランクを埋め合わせるかのようにしゃべりまくったのでありました。

学校生活では小学校6年生ぐらいから、ただ人の関心を買いたいがためだけに、躁モードになると、バカがますますバカにされるようなことをしゃべりまくりその結果、ますます人からはバカにされ浮きまくってしまったのでありました。

中学生になっても普段は孤立しているがためおとなしくしておりましたが、躁モードになると、小学校6年生の頃と同じ失敗をたちまち繰り返してしまいました。

その後も孤立しているくせに不定期的にその悪い癖が姿を現し、しゃべりまくって、バカにされ浮きまくるのオンパレード。

まあ結論的に言うと、あわほには生来的に感情や感情を伝達するための言葉が根本的に欠如しておりました。

それゆえに、自分で何を感情として捉えたらいいのか、何をどうしてどのように表現し、人に伝達したらいいのか、全くもってわかりませんでした(今現在もだけどね)

また、自分の周りで起きている物事は全体的ではなく、ごくごく一部の表面的な情報しか脳内入ってきませんでした。

おまけに自分の近くにいる両親や祖父母や、小学校4・5・6の3年間担任だった威圧的な先公も、すごくすご~く狭い範囲でしか物事を認識できなかったので、ますます自分の脳内に入ってくる情報は薄っぺらい代物になり果ててしまいました。

文明とは伝達である。表現し、伝達すべきことが失くなった時、文明は終わる。パチン・・・・・OFF。


この状態になると、その空虚感や虚無感を埋め合わせるべく、さらに虚しく魂のない空っぽの言葉で、自分の世界を埋め尽さずにはいられなくなります。

何をしゃべったのかまるで覚えてはいないが、ブランクを埋め合わせるかのようにしゃべりまくり、という現象が発生します。

もっとも、本の主人公の僕は、「三カ月間かけてしゃべりまくり、7月半ばにしゃべり終えると40度の熱を出して三日間学校を休んだ。熱が引いた後、僕は結局のところ無口でもおしゃべりでもない平凡な少年になっていた」と、空虚なおしゃべりに終止符を打ちます(めでたし。めでたし)

かたや、あわほは、自分の感情は昔よりも明瞭になってはきたものの、未だに人にどう表現し、伝達すればいいのかわからず、油断したり、相手が無口だったりすると、一方的にしゃべりまくり、言葉だけが虚しく空回りしてしまいます。

それが、イタイほどわかるから、人とはますます疎遠になる今日このごろでございます(っていうか、あわほには長年ひとりも友達がいないし)

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あわほ
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